癌の新しい治療法について

 

これまでのがん治療

従来のがん治療としては基本的に以下の3つの方法があり「三大治療法」とも呼ばれています。
 
1.手術療法
 
できてしまった腫瘍を外科的手術によって切除する治療法です。
がん細胞がリンパ節まで広がっているようであれば腫瘍だけでなく周囲の組織やリンパ節も一緒に切除することがあります。
早期の癌であれば手術療法が積極的に行われ、近年は内視鏡や腹腔鏡などを使うことで患者の負担を抑えることも可能になっています。
 
2.放射線療法
 
病巣に放射線を照射することで、がん細胞を死滅させる治療法です。
放射線は体の外部から照射する方法と注射や薬を用いて体の中から挿入する方法の2つがあります。
 
3.薬物療法
 
抗がん剤を使うことでがん細胞を叩き、死滅させたり増殖を抑えたりする治療法です。
抗がん剤は血液を通じて体中に広がるので転移が始まっている癌の治療にも有効ですが、脱毛や吐き気など副作用がつらい治療法でもあります。

 


第四の治療法としての免疫療法

三大治療法に次いで登場したのが免疫治療です。
免疫とは人体に侵入してきた細菌やウイルスをやっつけて健康を守るためのシステムであり、この免疫システムを高めることでがん細胞を攻撃するという治療法です。
免疫療法自体はかなり以前から存在していましたが、いわゆる民間療法の類であり、効果についてはあまり期待できないものも数多くありました。
しかし、研究が進んで免疫チェックポイント阻害薬が登場したことで免疫治療でも十分に効果が期待できるようになってきています。
代表的なものとしてはPD-1抗体やPD-L1抗体があります。
また、オプジーボが2018年にノーベル医学賞を受賞するなど、今後発展が期待される治療法の一つです。

 


光免疫療法

癌の最新の治療方法の一つが光免疫療法であり、第五のがん治療法とも呼ばれています。
日本では、2020年に頭頸部癌の治療を対象に厚生労働省によって承認され、保険での治療が可能になりました。
光免疫療法では、がん細胞に吸着しやすいタンパク質(抗体)に光に反応する薬剤を付着させ、がん細胞の内部にそのタンパク質が集まったところで近赤外光線を照射してがん細胞を死滅させます。
光免疫療法は副作用が少ないというのも大きなメリットです。
抗がん剤を使うと正常な細胞まで攻撃してしまうので、ひどい副作用に悩まされることになりますが、この治療法ではがん細胞だけを集中的に攻撃できるので、正常な細胞には影響しないからです。